アレクサンダー・テクニークティンパニ演奏

なぜ、いい音が出ないのか?ティンパニ奏法の「思い込み」と身体の使い方

ティンパニを叩いていて、「音が硬い」「響かない」「跳ね返りが不安定」と感じたことはありませんか?
正しい叩き方をしているつもりでも、なぜか納得のいく音にならない。
それは、奏法だけでなく、体の使い方と「動きの認識」に原因があるかもしれません。


「腕で叩く」は本当か? ― 実際に動いているのはどこか

多くの奏者は「腕でマレットを振っている」と認識しています。
しかし、実際にはマレットを持っている腕だけでなく、肩、背中、首、脚、そして骨盤まで、全身が連動して動いています。

例えば、楽器の前で座っているとき、腰や脚が固まっていると、腕の動きが制限されます。
また、首や肩が不必要に緊張していると、手首や指先の動きにも影響が出ます。

つまり、「腕だけで叩いている」という意識のままでは、無意識のうちに余分な緊張を生み、音の立ち上がりや跳ね返り、響きに影響してしまうのです。


ズレの正体:やっているつもりと、実際の動き

「手首を使って脱力して叩く」と思っている動きが、実際には肩を固めて押し下げていた。
「まっすぐ構えている」と思っていた姿勢が、腰が後ろに引けていて、上半身が前傾していた。

こういった「やっているつもり」と「実際の動き」のズレは、演奏の質に大きく影響します。
このズレを修正するには、単に「脱力」や「感じる」といったあいまいな表現ではなく、具体的にどこがどう動いているかを知る必要があります。

ここで役立つのが、アレクサンダー・テクニークの視点です。


動きの精度を上げるために:頭と背骨のつながりを見直してみよう

アレクサンダー・テクニークでは、「頭と背骨の関係」がとても大切だと考えます。

たとえば、演奏中に頭が前に突き出たり、首の後ろが縮こまったりしていると、その下にある背中や腕、手の動きもぎこちなくなってしまいます。
逆に、頭が自然に背骨の上に乗っているようなバランスだと、腕や手がスムーズに動きやすくなります。

特別なトレーニングや感覚がなくても、鏡やスマホ動画を使って、自分が演奏しているときの姿勢や動きを観察してみると、「あれ?思ってたより頭が前に出てるな」といった新しい気づきが得られることもあります。

こういった視点から、自分の体の使い方を見直していくことが、音の変化につながっていきます。


ティンパニの音が変わるのは、マレットの種類だけではない

叩き方に悩んだとき、マレットを変えたり打点を工夫したりするのは有効ですが、それだけでは本質的な解決にならないこともあります。

本当に見直すべきは、「自分の体がどう動いているかを、正確に認識しているかどうか」。
それがわかるだけで、音の反応が良くなり、必要以上に力まなくても自然に響く音が出るようになります。


おわりに ― 身体を知ることは、音を変える第一歩

アレクサンダー・テクニークは、演奏の中での身体の使い方を具体的に整理し、修正する方法です。

「いい音が出ない」と感じたとき、それは自分の奏法の限界ではなく、身体の使い方に原因があるかもしれません。

まずは、鏡で自分の演奏を見てみることから始めてみてください。
そして、もしより詳しく知りたい方は、ぜひ一度レッスンでご相談ください。
また、準備段階ではありますが、こういった身体や奏法に関する質問を、今後YouTubeなどでも取り上げていけたらと考えています。

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