打楽器

ティンパニの基礎チューニング法

打楽器奏者の泉純太郎です!

今回は以前YouTubeに上げた動画を元にティンパニの基礎チューニングを解説していきたいと思います!

基礎チューニングとは、チューニングキーを使ってヘッド(皮)の張り具合を均一にし、正確な音程を出しやすくするための作業です。
田中覚氏の「これでOK! 打楽器メンテナンス」で使われていた用語で、音程を合わせる(ペダルを動かす)チューニングと区別するのに便利なのでマネして使っています(笑)

それでは、基礎チューニングの解説を始めたいと思います!

基礎チューニングの準備

基礎チューニングに必要なもの

用意するものは3つ

  • マレット
  • チューニングキー
  • 音程の確認ができるもの(ピアノ、グロッケン、チューナーなど)

マレット

静かな環境でチューニングできるなら柔らかいマレット、そうじゃない場合は硬いマレットがお勧めです。(とはいえ、できるだけ静かな場所でやるのが理想です)

チューニングキー

チューニングキーはメーカー純正のものを使いましょう。
メーカーによってサイズが違います(ヤマハとラディックは同じ)。また、モンキーレンチ(幅を変えられるレンチ)を使う方もいますが、どれくらい回したのかが分かりづらいのでお勧めしません。

音程を確認できるもの

最後に「音程の確認ができるもの」ですが、中高生の皆さんの多くはチューナーを使っていると思います。
もちろん、僕も使う場合がありますし、多くのプロ奏者も使っています。
ですが、チューナーの表示だけを頼りにチューニングしていてはいつまでたっても耳が育ちません。
毎日は難しくても、時間のある時はピアノやグロッケンの横にティンパニを持っていって耳を使って合わせてみましょう。(動画中ではマリンバを使っています)

左奥がパール社のチューニングキー、右奥がラディック(ヤマハと同じサイズ)。手前にあるのがモンキーレンチ

現状の音域チェック

さて、いよいよチューニングを始めるわけですが、最初にするのが音域のチェックです。
下記の音域表を参考に下から上まで音域をカヴァーできているか確認します。

サイズごとのティンパニの音域

ティンパニの基礎チューニングはまず音域のチェックから始めます。
特に最低音は重要ですので、知らないよ!って方は要チェックです。

多くの学校、団体さんはティンパニを4台1組で運用していると思います。
そのほとんどで使われているのがパール社やヤマハ社のバランスアクション方式の楽器ではないでしょうか。

この下の画像はそのパール社とヤマハ社のティンパニの音域表で、青マーカーで印をつけているのが最も一般的な32”、29”、26”、23”の4台です。
この2社の音域表を比べると分かりますが、サイズが同じであれば他のメーカーでもだいたい音域は同じです。
ただし、アダムスは1台の音域が広いので少し違いますし、プレミアや古いラディックはそもそも楽器のサイズが違うので少しずれます。

パール社のティンパニの音域
ヤマハ社のティンパニの音域

音域をチェックした結果…

仮に一番高い音が出ない、ということがあれば音域を上げなければいけません。
逆に低い音が出ない場合は下げます。
ちなみに、上も下も出てないよ!という場合は、ヘッドの寿命が考えられますので、できれば打楽器を専門とする楽器屋さんに相談してください。

いよいよ基礎チューニング開始!

ようやくここから基礎チューニングを始めます。

まず基本事項として、ボルトを時計回りに回すと音程が上がり、反時計回りだと下がります。
基本的には低いところから上げていく作業になるので、音域を下げたい場合はすべてのボルトを反時計回りに90度ずつ回してください。それでも低い音が出ない場合は45度追加します。楽器の状態にもよりますが、ボルトを緩めていくと急にペダルが動くことがありますので、必ず足で踏みながら行ってください。

ちなみに目当ての音が出るようになる前にヘッドがベロベロになってしまった場合、サイズの違うティンパニで作業をしていたか、そうじゃない場合はヘッドの寿命です。


ここからは音域を上げる場合も下げる場合も基本的にやることは一緒です。
それぞれのボルトから数センチのところをごく小さな音で鳴らし、音程差を聞き取っていきます。(ちなみにこの作業をチューナーで行うのは不可能です)
そして、「特に低い場所」を見つけ、時計回りに少しずつ回しながら全体との音程差を縮めていきます。

もし「極端に高い場所」があれば、反時計回りにダイナミックに回して一度全体よりも低くしてから時計回しに回します。

実はこの作業、完璧を目指すと永遠に終わりません。
僕は通常1台5分と決めて基礎チューニングをするのですが、この作業にかけるのは1台1〜2分ほどです。多少違和感があっても一旦そこでやめます。

ここで再び音域チェックをします。
音域表に書かれている最低音よりもほんの少し低いくらいがベスト。
*26インチだけは規定音域よりも低いAsかGにするといいです。

ちなみにここで万が一高くしすぎていた場合、やり直しですのでご注意ください
音域が低い場合は時計回しに45度で半音上がるのを目安にすべてのボルトを回し、音域を合わせてください。*楽器によっては全然45度で半音じゃないものもあります(笑)

音域を合わせたら微調整してください。同じだけ回しているつもりでも多少ズレます。
音域が合っている状態でペダルを動かしてみてください。
ペダルの可動域の端っこあたりで、ペダルが勝手に戻ってくるという現象が起きた場合スプリングの調整が必要です。
*メーカーによってやり方が全然違うので、ここでは触れません。「メーカー名 ティンパニ スプリング調整」でググってください!

最低音で微調整をしたら今度は真ん中くらいに音程で再び微調整。
ここまでやってようやく完成です!

実際の基礎チューニング映像

ちょっと長いですが、上記の内容を読んでから見ると分かりやすいと思います!

まとめ

さて、実際にやってみた方はわかると思いますが、慣れないうちは時間がかかるし、だんだん訳が分からなくなってくるし、結構大変な作業なのです。

そこで、僕が実際のレッスンでお勧めしているのが「1日1台ローテーション」。
毎日4台全部やるのはかなり大変なので、練習の初めに5〜10分くらい使って1台基礎チューニングして下さい。
次の日は別の1台、その次の日はまた別の1台、というようにするといい状態をキープできると思います。
耳のトレーニングにもなるので、是非取り組んでみて下さい!

*HENYOHARO PERCUSSIONではレッスン生を募集しております!興味を持たれた方は是非体験レッスンを受けてみてくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました