こんにちは!Henyoharo Percussionの純太郎です!
以前ティンパニの音をどの楽器に割り振るか、という記事を書き、多くの方に読んでいただいています!
そこで、今回からは具体的な曲を例に上げて、どのように決めていくか書いていきたいと思います!
「運命」で使うのは2音だけ!
さて、その1回目に取り上げるのはベートーヴェン作曲の名曲、「交響曲第5番」です!
「運命」という愛称で有名ですね♪
この曲は4つの楽章通してCとGの2音しか使いません。
まずはこの2音を鳴らすことができるサイズを書き出します。
Cは23″ 26″ 29″の3台
Gは29″ 32″2台
つまり、組み合わせとしては下記の5通りの選択肢が考えられますね!
C | G |
23″ | 29″ |
23″ | 32″ |
26″ | 29″ |
26″ | 32″ |
29″ | 32″ |
それでは、この中からどの組み合わせがベストなのか、考えていきましょう!
なるべく隣り合った2台を選ぶ
特に理由がない限り、基本的には隣り合った2台を選ぶようにしましょう。
なぜなら、1台飛ばし、2台飛ばしは単純に難しいからです。
最も演奏しやすいのは楽器同士が隣り合っているときです。
なので、1台飛ばし、2台飛ばしを除いた以下の2通りが残ります。
C | G |
26″ | 29″ |
29″ | 32″ |
各ティンパニの中央に近い音域を選ぶ
これまた特に理由がない限り、各楽器の中央あたりの音域で演奏するのが基本です。
各楽器の音域はこちらの図のようになっています(Pearl社 88Hまたは88モデルの場合)
上記の表をもとに考えると、
Cは26″、Gは32″を選ぶとそれぞれ真ん中あたりの音になりそうです。
ですが、この2台は隣り合っていないので、
Cを26″で取る場合はGは29″、Gを32″で取る場合はCは29″というように、少々妥協が必要になります。
(楽器が隣り合うことを優先する)
出したい音色・ニュアンスで選ぶ
さて、下記の2通りに絞ることができましたが、ここからはそれぞれの特色を考えていきます。
C | G |
26″ | 29″ |
29″ | 32″ |
ざっくり特徴をまとめると以下のようになります。
*音域によって大きく変わるのであくまで参考程度です!!
同じ音程を小さい太鼓で演奏した場合(26″&29″の場合)
アタックが弱い 響きが残りやすい 音圧が低い 音色が軽い ピッチベンドが起きやすい
同じ音程を大きい太鼓で演奏した場合(29″&32″の場合)
アタックが強い 減衰が早い 音圧が高い 音色が重い
ここから状況に合わせて考えると、
オーケストラの編成が大きく、音量が欲しい場合 or 音楽づくりの方向性がどちらかというと重厚な場合
Cを29″、Gを32″で演奏すると有利かもしれません
オーケストラの編成が小さく、軽い音色が欲しい場合 or 音楽づくりの方向性がどちらかというと軽快な場合
Cを26″、Gを29″で演奏すると有利かもしれません
正直なところここまで来ると好みにも左右されるので、絶対こっち!とは言い切れません…
楽章ごとに変えるのも全然有り!
例えば、1楽章や3楽章はコンパクトな音色で演奏したいが、2楽章は少し重厚にいきたい!
というような場合は楽章ごとに変えても全然OKです
もっと細かく、演奏箇所ごとに変えるのもOK
たとえば
26″ | 29″ | 32″ |
C | G | G |
このように音を配置して、場所によって使う楽器を変える、なんてこともできます。
ただし、同じ音程を複数置いた場合、共鳴しあって思わぬ残響を生む場合もあるので要注意です!
まとめ
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
どの音をどの楽器に割り振るかという方法にはいくつかの法則はありますが、最後はやはり「どんな音色、どんなニュアンスで演奏したいか」というところが決め手になってきます。
まずは曲をよく勉強して、自分がどんな演奏をしたいのかをよく考えるところから始めてもいいかもしれませんね!
コメント