こんにちは!Henyoharo Percussionの純太郎です!
今回はティンパニ・ソロの古典的名曲、エリオット・カーターの「4台のティンパニのための8つの小品」について書いていきたいと思います!
エイト・ピースとは
楽譜に記載されている原題はEight Pieces for Four Timpani (One Player)。
カッコ付きで「一人の演奏者で」と注釈されているのが面白いですね!
「4台の」とわざわざ書かれていることも含めて、ティンパニを4台1組で使用することが普及しきっていなかった時代の名残でしょうか。
*ちなみに我々打楽器奏者は単純に「エイト・ピース」と呼ぶことが多いです。
アメリカの作曲家エリオット・カーター(Elliott Carter)によって作曲され、1968年に出版されたようです。
当時まだまだソロ楽器としての作品が少なかったはずで、ティンパニ奏者にとっての貴重なレパートリーとなったことは想像に難くありません。
タイトルの通り、8曲の短い曲で構成されていますが、実際に演奏する際は数曲を抜き出すように指示されています。
余談ですが、この曲が作られた当時はまだペダルティンパニが普及していなかったのか、「第3曲と第6曲はペダル・ティンパニが用意できる場合のみ含めることができる」旨の注釈がされています。
また、想定されている楽器のサイズが現代のものと若干異なっており、30”28”25”23”の組み合わせを「標準的な4台」として指定しています。
各曲で使われている奏法、バチの指定などについて。
1.Saeta(正確にはSaëta)
Al Howard氏に献呈。通常のティンパニ・マレットを使用。音変え無し。
ノーマル・ポジションと楽器中央を叩き分ける。マレットも通常の使い方と持ち手側で叩くところがある。一部マフリング指定あり。
2.Moto Perpetuo
Paul Price氏に献呈。特殊なツートーン・マレットを使用(これに関しては楽譜の記載を見ていただくしかない)。音変え無し。
ノーマル・ポジション、楽器中央、リム付近を叩き分ける。デッド・ストロークが随所に指定されている。
3.Adagio
Jan Williams氏に献呈。通常のティンパニ・マレットを使用。グリッサンドを伴う音替えが多用されている。
ハーモニクス(倍音)奏法が指示されている。実現可能かどうかは不明。
4.Recitative
Morris Lang氏に献呈。通常のティンパニ・マレットを使用。音変え無し。
ノーマル・ポジション、楽器中央、リム付近を叩き分ける。デッド・ストローク、ハーモニクス(倍音)奏法が指定されている。マフリング指示も細かい。最後の一発は大太鼓の撥を使用。
5.Improvisation
Paul Price氏に献呈。通常のティンパニ・マレットを使用。音変え無し。
ノーマル・ポジション、楽器中央、リム付近を叩き分ける。デッド・ストロークが随所に指定されている。
6.Canto
Jan Williams氏に献呈。小太鼓の撥を使用。グリッサンドを伴う音替えが多用されている。
随所でリムショットが指定されている。
7.Canaries
Raymond DesRoches氏に献呈。通常のティンパニ・マレットを使用。音変え無し。
ノーマル・ポジション、楽器中央、リム付近を叩き分ける。
8.March
教本で有名なSaul Goodman氏に献呈。通常のティンパニ・マレットを使用。音変え無し。
マレットは通常の使い方と持ち手側を使い分ける。ミュートが必要。
まとめ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この曲はティンパニの作品としては古いのですが、クラシック音楽全体から見ると近代、現代の作品となるため、やや難解かもしれません。
でも、ティンパニのポテンシャルを余すことなく使う名曲でもあるので、この記事を読んで興味を持った方はぜひ取り組んでみてくださいね!
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