こんにちは!打楽器奏者でアレクサンダー・テクニーク教師の泉純太郎です。
今回の記事では、ティンパニの倍音からチューニング、特に純正律について考えてみようと思います。
倍音と純正律とは?ティンパニのチューニングを理解するために
「音」が波であり、音程によって周波数が決まっていることは多くの方がご存じのことだと思います。
例えば、A4(いわゆる真ん中のCの6度上のA)の場合、440Hzであると国際基準に定められています。
*実際に演奏する際はこの限りではありません。
ただ、楽器や声から出される音には音程固有の周波数と同時に、その整数倍の周波数の音が鳴っているのです。
A4を鳴らすと、2倍音であるA5、3倍音であるE6などの音が同時に含まれます。
ちなみにどの倍音が多く含まれるかによって「音色」が決まるとも言われますが、これについてはまた別の機会に。
「倍音」として現れる音を簡単に整理すると:
- 2倍音 → 基音の1オクターブ上
- 3倍音 → 基音の1オクターブ+5度上
- 4倍音 → 基音の2オクターブ上
- 5倍音 → 基音の2オクターブ+長3度上
これを利用すると:
- 1.5倍音(3倍音のオクターブ下) → 基音の5度上
- 1.25倍音(5倍音の2オクターブ下) → 基音の長3度上
を得られ、長3和音を構成できます。
この和音は平均律で作ったものよりも調和が良く、美しい響きになることがあります。これを「純正調」や「純正律」と呼ぶわけです。
*ここではオーケストラや吹奏楽の場面に限定しています。
ティンパニのチューニングと純正律の関わり
では、ティンパニのチューニングは平均律ですべきか、それとも純正律ですべきか。
結論から言うと、「状況次第で変わる」と思います。
例えば、ハイドンやモーツァルトなど古典派の作品のように、ティンパニの音程が完全4度や完全5度に指定される場合、純正律でチューニングすると豊かで美しい響きが得られると感じます。
一方、ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチなど近現代の作品では、半音や全音を含む音程、また頻繁な音替えが要求されるため、純正律で合わせることは難しく、結果的に平均律的なチューニングに落ち着かざるを得ません。
ティンパニの倍音構造と音響学的特徴
実は物理的な事実として、ティンパニの倍音は弦楽器や管楽器のようにきれいな整数倍にはなっていないそうです。
ただし、ヘッドを均一に張り、適切な位置を適切なマレットと奏法で叩くことで、耳に届く倍音が“整数倍に近い”状態に整えられるとも説明されることがあるそうです。
そのため、仮に「純正律」に完全に合わせられたとしても、弦や管のように透き通った和音感は得られにくいのだとか。
また、ティンパニ同士を完全4度や完全5度にチューニングすると、相対的に調和した響きとして認識されやすいこともあるようです。理由としては、音響学的にティンパニでは1オクターブ上や5度上に近い成分が比較的強調されやすく、耳が「調和」と感じやすいからだと説明されることもあります。
まとめ
今回の記事では:
- 純正律が倍音に基づいて作られていること
- ティンパニのチューニングが純正律か平均律かは状況次第であること
- ティンパニの倍音は整数倍にはならないが、調整次第で「調和感」を生み出せること
について書いてみました。
実は最後の「ティンパニの倍音構造」については、今回調べていて初めて知ったことです。これからさらに掘り下げてみたいと思いますし、もしこの記事が好評ならそのテーマで改めて記事を書いてみたいと思っています。
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最後になりましたが、私は打楽器やアレクサンダー・テクニークのレッスンを行っています。大阪など関西での対面のほか、オンラインでも受けていただけますので、お気軽にご連絡ください。








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