こんにちは!Henyoharo Percussionの純太郎です!
今回はツェルニー楽曲分析の8回目、ということで、100番練習曲の第8曲をやっていきましょう!
この曲には「転調」と「借用和音」の両方が含まれています。
区別の難しいこの2つについて解説していきますよ!
形式と和声
それでは、まずはいつものようにざっくりと形式と和声を見ていきますね。
形式は[A-B]-[C-B’]の2部形式。
B’はBをC durに移し替えたものです。
和声では新しい和音が出てきています。
それらは転調や借用和音に関わるものなので、次項で説明していきますね!
転調と借用和音
さて、今回僕は8小節から9小節の間では転調、
21,22小節は借用和音と解釈しました
両方とも臨時記号で表していて、何が違うのかの境界は曖昧です。
それぞれについて簡単に説明していきますね!
転調とは、「他の調性に移ること」
もともとの調性から完全に離れてしまって、別の調性が確立された状態を「転調」と言います。
この曲の場合、元の調性はC durで、その後G durに移っています。
8小節に渡ってG durがキープされていますし、感覚的に安定感があります。
このことからこの部分は「転調である」と判断しました。
借用和音は「他の調性の和音を借りてくること」
調性の固有和音以外の和音を他の調性から借りてくることを「借用」といい、借用してきた和音のことを「借用和音」と言います。
基本的にはドミナント和音です。
たとえば、G durから借用できるのはV(7)の和音であるD(7)、VIIの和音であるF#dimなどです。
時代が進めば、ドミナントに付随するサブドミナント(IIやIV)も借用するようになります。
また、原則として借りてきたドミナントはそのまま終止します。
たとえば、G durからV7の和音であるD7を借りてきたら、その後にはG durのIの和音であり、同時にC durのVの和音であるG(G,H,D)に落ち着きます。
余談ですが、この落ち着いた先のC durのVの和音は一時的にトニックのような性質を帯びます。
上記のように、借用和音の場合、基本的には
借りてきたドミナント→借用先の調性のトニック
の部分だけが一時的に他の調性に移りますが、定着することはありません。
ここが転調との違いであり、演奏する上でのポイントにもなると思います。
この曲では、C durの4度上の調性であるF durからV7の和音を借りています。
そのため、この部分で使われている和音を4度調の属七と表現します。その次の和音はしっかりC durのIVの和音が響いていますね!
境界は非常に曖昧
さて、ここまで「転調」と「借用和音」について書いてきましたが、実はこの2つがどう違うのか、という部分に関しては多くの考え方があります。
僕が今回採用した考え方は、できるだけ演奏に結びつけ易いものを紹介しようという意図で選んでいます。
その為、作曲や編曲をする時の考え方とは少なからず違う可能性があります。
ややこしいと思われるかも知れませんが、その時その時で最も活用できる考え方を選んでいけばいいかな、と思います。
まとめ
さて、今回は「転調」と「借用和音」に注目して分析してきましたが、いかがだったでしょうか?
曲が複雑になればなる程、解釈が多様化していきます。
一つの考えに固執せず、柔軟に分析できるようになると良いですね!
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