打楽器

シンバル Cymbals

シンバルは金属製体鳴楽器の一種。2枚1組を打ち合わせて音を鳴らす「合わせシンバル」と、スタンドにのせて撥で叩いて音を鳴らす「サスペンデッド・シンバル」に大別される。特に前者はオーケストラや吹奏楽の花形楽器である。その起源は非常に古い。
材質は銅を主体とした合金で、混ぜる金属の種類や分量に音色が大きく左右される。また、現代では様々な形状のシンバルが開発され、「チャイナ・シンバル」「スプラッシュ・シンバル」などが広く世間に知られている。
元々オスマン・トルコ軍の軍隊楽器であったシンバルが西洋芸術音楽に採用されるきっかけとなったのは、オスマン・トルコ軍のヨーロッパ遠征である。トルコとヨーロッパ諸国の和平確定後、「異国」好きだったヨーロッパ人の間でトルコブームが起き、それに音楽家が便乗してトルコ風の曲を多く書いた。(ハイドンの「軍隊」、ベートーヴェンの「トルコ行進曲」など)
軍楽的な楽曲以外でシンバルが使われ始めたのはロマン派の時代に入ってからのことであり、特にチャイコフスキーは効果的に使用している。
近代以降、奏法も多く開発され、新たな可能性の追求が常に行われている楽器である。

各国語の表記

英語:cymbal(s)
ドイツ語:BeckenまたはTeller、Cinellenとも
フランス語:cymbale
イタリア語:piatto(複数形はpiatti)またはcinelli
*何も指定されていない場合は原則として合わせシンバルを用いる。”a2″等の用語によって『2枚の』と指定されていることもある。

*特にサスペンデッド・シンバルをさす時
英語:suspended cymbal
フランス語:cymbale suspendue
ドイツ語:Hängebecken
*その他、『撥で叩く』『吊るす』『スタンドに乗せる』などの表現が使われている場合はサスペンデッド・シンバルのことである。
bacchette di tamburo / baguettes de tambour ドラムスティックで
bacchette di timpani / baguettes de timbales ティンパニ・マレットで(通常、鍵盤楽器を叩くマレットが使用される)

*イタリア語では、piattiは複数形なので、サスペンデッド・シンバルは本来piattoであるが、piattiと表記されている場合もある。

*ロシアの作曲家は音符の上にプラス(+)を書いてサスペンデッド・シンバル、丸(◯)を書いて合わせシンバルを指定することがある。

発祥地 トルコ?

活躍する曲 (オーケストラ・スタディによく出る曲)

ラフマニノフ:『ピアノ協奏曲第2番』
チャイコフスキー:『交響曲第4番』、『ロメオとジュリエット』
ムソルグスキー:『禿山の一夜』
シベリウス:『フィンランディア』

主なメーカー

Zildjian(ジルジャン、現存する最古のメーカー)、SABIAN(セイビアン)、ISTANBUL(イスタンブール)、PAiSTe(パイステ)、Turkish(ターキッシュ)、小出、etc….

主な省略表記

Cym.、Cymb.、Bck.、Beck. etc
特に合わせシンバルをさす時:Cr.Cym.、Pti.、Ptti. etc
特にサスペンデッド・シンバルをさす時:C.S.、S.Cym.、Sus.Cym.、Susp.Cym. etc

その他の省略表記、記号

mit T.:シンバルを伴って(大太鼓とシンバルが一つの譜面に書いてある時)
ohne T.:シンバル無しで(大太鼓とシンバルが一つの譜面に書いてある時)
+:スティックまたはマレットで叩く(主にロシアの作曲家が使用)
○:合わせシンバル(主にロシアの作曲家が使用)

その他

楽譜上、特に断りなしにロール表記が出てくる場合がある。こういう時、どこを合わせシンバルで演奏して、どこをサスペンデッド・シンバルで演奏するかは奏者に委ねられている。(近現代ではほぼ見かけない)

特に邦人作品(アレンジ含む)において、合わせシンバルをpiattiとイタリア語で書いているにもかかわらず、サスペンデッド・シンバルを英語でSuspended Cymbalと書いているのが散見される。(特に中高生の)混乱のもとなので、言語は統一して欲しい。

完全に余談だが、中高生の吹奏楽部などで、合奏中シンバル奏者に(演奏中以外の時間も)楽器を持ち続けさせる行為がある。1枚で数キロある物を長時間持たせ続ける行為は完全にパワハラ、虐待なので絶対にしてはならない。

(最終更新日:2022/2/19)

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